「熟年離婚」という言葉がよく聞かれるようになったことからもわかるように、長年連れ添った夫婦が離婚するケースはもはや珍しくありません。熟年離婚を切り出すのは圧倒的に妻が多いと言われていますが、その理由は一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、熟年離婚の原因をランキング形式でご紹介します。
何十年と続いた結婚生活に終止符が打たれるケースとして多いのが、モラルハラスメントです。モラルハラスメントとは、言葉や態度で相手に精神的な苦痛を与えることを指します。たとえば夫のために作った料理に難癖をつけたり、無視したり、厳しい門限を決めて妻の行動を制限するといったことが挙げられます。このようなモラルハラスメントは、些細なものから重大なものまで実にさまざまです。長い夫婦生活の中で夫からのモラルハラスメントに対する不満が積もりに積もって爆発してしまい、熟年離婚に踏み切る妻が多いのでしょう。
定年退職した後は、夫は仕事がないため当然毎日家にいることとなります。もともと家事を手伝ってくれていた夫や、退職後に家事を手伝う意思のある夫であれば良いのですが、問題は何もしない夫です。家事ができない、する気もない夫が何をするわけでもなく1日中家でゴロゴロしていることになった場合、苦労するのは妻の方です。夫が仕事をしていた頃とは異なり、夫のために1日3食料理しなければならず、家事を休むと文句を言われることもあります。つまりは1日中夫に束縛されることとなります。妻にとって大きなストレスになってしまうでしょう。これは「主人在宅ストレス症候群」と呼ばれており、うつやパニック障害、胃かいようや十二指腸かいようなど精神的・身体的な疾患として現れてきます。これも熟年離婚の大きな原因として挙げられているのです。
専業主婦の場合は家事に子育て、仕事をしている妻であればさらに仕事もしなければなりません。仕事をしている男性が「専業主婦は楽で良い」と専業主婦を揶揄することがあります。しかし、一般的な仕事と違って専業主婦には休みがありません。家でも外でも自分の時間を取ることが難しくなり、その期間が数十年と続くことになるのです。そのため、子どもが自立したタイミングや夫が定年退職したタイミングで自由になりたいと考え、離婚を切り出すことが多いようです。
家庭内暴力も熟年離婚の原因として挙げられます。なぜ早い内に離婚せず、熟年離婚を選ぶのかについての理由はさまざまですが、離婚による子どもへの影響や離婚後の収入に不安がある、などの理由が考えられるでしょう。そのため、子どもが自立した後、または夫が定年退職した後に離婚を決意することがあるようです。
スキンシップがなくなったことを原因に離婚を考える方も多いと言われています。若い頃にはスキンシップを取ることが多かったものの、年を取るにつれ触れ合うことが目に見えて減っていった、という夫婦は多いのではないでしょうか。会話ももちろん重要です。しかし、スキンシップが減ると「夫は自分に女性としての魅力を感じておらず、ただ家事をするだけのお手伝いさんくらいにしか思っていないのではないか」と不安になってしまう女性も多いのです。
熟年離婚に至る理由には、他にも家族関係のトラブルや介護の問題、年金関連の問題などさまざまなものがあります。どのような理由にしろ、妻が熟年離婚を切り出すタイミングは「子どもが自立した後」「夫が定年退職した後」が多いようです。
ひと昔前には、「妻は夫に付き従い、家庭を守らなければならない。離婚は良くないことだ」という風潮があったものです。しかし、現在は女性の社会進出の影響や個人を尊重する風潮が強まっています。こうした社会的な背景も熟年離婚の大きな原因の1つと言えるかもしれません。