「もっと自由に行動すれば、楽に日々を過ごせるのに」と頭ではわかっていても、なんとなく気持ちがついていかない、体が動かない、といった経験はありませんか?
考え方や行動に心のなかで無意識的に歯止めをかけているものは、自分の心の中にいる幼い頃の傷ついた自分である、という説があります。今回は、自分の中にいる子どもの頃の自分「インナーチャイルド」の癒し方をご紹介します。
「内なる子ども」と訳されるインナーチャイルドは、大人になっても私たちの気持ちや行動に影響を与え続ける子どもの頃の感情や感覚のことを指します。カウンセリングの分野では、特に子どもの頃に傷ついた心に着目し、抑え込んだ感情を解き放つための心理療法を行っています。
インナーチャイルドが傷ついている場合に起こる心理状態には、自分に自信がなく嫌われるのではないかと心配になる、欲しいものを欲しいと言えなかったり、したいことをしたいと言えなかったりする、理由もなく常に孤独を感じる、身近な人間関係に不安を感じる、といったものがあります。このような抑圧された気持ちは、無意識の深い部分に根差した経験が原因となっているため、インナーチャイルドを癒してあげない限り、繰り返し心を苦しめ続ける原因になってしまいます。
抑圧されていると感じたら、まずは原因である傷ついたインナーチャイルドがいつ自分の心のなかに生まれたかを探りましょう。本音を抑え込むようになったのはいつごろからでしょうか。そのとき何歳ごろだったでしょうか。そこには誰がいたでしょうか。
たとえば両親に叱られた経験が原因で「これをしてはいけない」と心にブレーキをかけるようになったり、無視された経験がきっかけで「自分は嫌われている」と思い込んでしまったり、あるいは両親がけんかをしていた場面で「自分がいい子にしていれば両親が仲直りする」と思うようになったり、そうした記憶を具体的にたどっていきます。つらい作業になるでしょう。思わず泣いてしまうこともあるかと思います。
傷ついたインナーチャイルドを見つけたら、幼い自分としっかり向き合います。そして今の大人の心で慰めてあげましょう。つらかったね、悲しかったね、あなたは何も悪くないよ、と、インナーチャイルドをすべて受け入れます。
すると、子どもの頃の自分が本当は何がしたかったのかが見えてきます。お父さんとお母さんにもっと甘えたかった、自分の夢を目指したかった、そんな子どもの頃の本当の望みを、インナーチャイルドと一緒に探してみましょう。
子どもの頃の自分が本当にしたかったこと、今でもやりたいことが見つかったら、その実現に向けて行動してみましょう。傷ついたインナーチャイルドと向き合う前はできなかったことが、少しずつできるようになっていきます。
たとえばまず両親に、「小さい頃、相手にしてもらえなくて寂しかった」、「我慢するように言われていたあのことをやりたかった」ということを伝えてみましょう。それだけでも抑え込まれていた気持ちが解放され、すっと心が軽くなります。
心の足かせを一つずつ外していくと、どんどん「自分らしい」と感じられる言動ができ、ポジティブになっていく自覚を持てるようになります。そして周囲の環境に左右されない本当の自分、「ワンダーチャイルド」が育っていきます。ワンダーチャイルドを育てることで、つらさから解放されるだけでなく、生き生きした新しい日々を送れるようになるでしょう。
いかがでしたか?自分に自信が持てずにつらい思いを続けている人は、勇気をもって、インナーチャイルドを向かい合ってみてください。大きな愛で幼い自分を受け止め、癒してあげましょう。そして自由で前向きな日々への最初の一歩を、ぜひ踏み出してみてください。