夫から、日常的に「ダメなやつ」「バカ」「トロい」などとけなされたり、こちらに何の落ち度もないのに無視されたりしたことはありませんか?もし思い当たることがあるようなら、モラルハラスメント、いわゆるモラハラを受けているかもしれません。モラルハラスメントとは、精神的な嫌がらせのことを指す言葉です。同じ時間に家にいるのに一緒に食事をとってくれなかったり、小さな失敗にわざとらしくため息をつかれたり、といったこともモラハラにあたります。
こうしたモラハラに耐えられなくなり、それが原因で離婚を考える方は少なくありません。「婚姻を継続し難い重大な理由」として夫からのモラハラがあてはまると裁判所が認めた場合は離婚することができます。さらに、モラハラを「夫から受けた不当な行為」として慰謝料を請求することも可能です。
しかし、モラハラを離婚理由として認めてもらい、さらに慰謝料請求まで可能にするためには、モラハラを証明する証拠集めが不可欠です。
ここでは、モラハラの証拠集めとして4つの方法をご紹介します。
モラハラが離婚事由として認められるためには、日常的・反復的に行われていることの証明が必要です。そのための証拠となるものとして、モラハラを受けた日時や内容を記したメモや日記があります。これらは裁判においてモラハラを受けた証拠として認められます。
内容はできるだけ具体的に記録しておくことをおすすめします。いつ、どこで、どのような言葉を言われた、どのような態度をとられたかということを、詳細に記録しましょう。これらの記録を積み重ねることで、モラハラの常習性が証明されます。些細なことでもメモに残すことを心がけてください。
こうしたメモや日記を残していなかった場合、今から思い出せる範囲で、過去に起こった出来事やその時の気落ちを書き出していきましょう。
モラハラ夫の暴言を直接機械で録音したものも、証拠として十分な効力があります。モラハラ夫は、家庭の外と中では態度がまったく違う傾向があると言われています。周囲の人からは、夫がモラハラをしているということをなかなか信じてもらえないという場合もあるため、録音や録画はモラハラの証明にとても有効です。
現代の録音機器や録画機器は非常に小さく、かつ高性能のものも多くなっています。夫に気づかれずに家の中にビデオカメラをセットしたり、小さな録音機器を常に携帯したりすることで、モラハラの実態を記録に残すことができるでしょう。これらの証拠はできるだけ多い方が有利になるため、地道に集めることが大切です。
モラハラがひどくて精神的に追い詰められ、精神科や心療内科にかかるといったケースもあるようです。このように、夫からのモラハラが原因で医師の診断を受けた場合の診断書は、モラハラを受けたことの証拠になります。特に高額な慰謝料を請求したい場合には有効な証拠として働くため、診断を受ける際には必ず医師に診断書の作成をお願いしましょう。
モラハラが原因で離婚する場合、当然ながら不当な行為を受け続けたことに対する慰謝料を請求したいと考えるでしょう。しかし一体いくら程度の慰謝料を請求できるのかを知らない方は多いのではないでしょうか?
モラハラによる慰謝料の相場は、50万円から300万円と言われています。慰謝料の額は、モラハラ行為の程度によるほか、モラハラ夫の資産や年収からも影響を受けます。
モラハラ夫側の資産や収入が多く、妻側の資産や収入が少ない場合、慰謝料が高額になりやすい傾向があります。できる限り高額な慰謝料を請求するためには、モラハラ夫の収入や資産を証明する書類を証拠として準備しておくことが望ましいでしょう。収入を証明する書類としては、確定申告書・源泉徴収票・給与明細などがあります。資産を証明する書類としては、不動産登記簿謄本・株券・保険証書などを用意しておきましょう。
モラハラ夫と離婚するための証拠集めについてまとめました。モラハラの証拠集めは日々の記録の積み重ねが有効です。証拠集めには長期にわたる努力が必要になりますが、それさえクリアすればモラハラ夫から逃れられるうえ、正当な慰謝料を獲得することもできるでしょう。