縁あって結婚した相手と離婚することになった場合は、さまざまな気遣いが必要です。離婚するかどうかは2人が決めること。互いが納得しているのであれば問題はありません。しかし結婚と同様、離婚も周囲へ影響を与えます。
結婚する際は相手の親へ挨拶をしたと思いますが、離婚の報告はどのように行うべきなのでしょうか。
ここでは、相手の親へ離婚の挨拶に行くときの注意点についてご紹介します。
昨今では、離婚はめずらしいことではなくなりました。厚生労働省の統計によると、平成25年の離婚件数は23万1384組。平成14年のピークに比べると減ってはいるものの、昭和60年の16万6640組の1.5倍以上です。さらに昭和46年以前は10万組以下であり、離婚件数はここ数十年で大きく増えていることが分かるでしょう。
また内閣府発表の平成17年の国民生活白書では、離婚に対する抵抗感が特に女性の間で減少しているとされています。離婚が特別なことでも悪いことでもないという意識は世の中全体に広がっていると言えます。
離婚は一概に悪いことではありません。女性の社会進出や年金制度の変更、社会における離婚への意識の変化などにより、我慢して結婚生活を継続する必要がなくなったことは良いことだと言えるでしょう。
しかしそうは言っても、離婚には結婚するときの何倍もの労力が掛かります。共有財産の分配、子どもがいる場合は親権や養育費についての話し合い、新生活に向けての準備など、しなくてはならないことが山積みです。
そのような忙しさだけでなく、離婚についてあまり人に話したくないという気持ちもあり、挨拶は後回しになりがちです。しかし、多少気が乗らなくとも挨拶をしっかりすることによって、自分の気持ちにも整理がつきやすくなるはずです。
離婚時、必ず相手の親に挨拶をしなければならないわけではありません。離婚にはさまざまな理由があります。離婚理由によっては、挨拶をしない方が良い場合もあるでしょう。
よくある離婚理由として、不貞、DVがあります。不貞の場合は、今までの関係性などを踏まえ、相手の親が挨拶をして欲しい状況かどうかを考えましょう。
相手方のDVが離婚理由の場合は、相手の親が夫の暴力を容認していたかどうかによって状況が変わります。相手の親が暴力を容認していたのであれば、夫へ情報が流れる可能性もあるため挨拶しない方が良いでしょう。
もし相手の親が暴力に反対してくれていたのであれば挨拶をしておきたいところです。ただし、相手の親から夫へ情報が流れないよう細心の注意を払いましょう。場合によっては、対面でなく手紙やメールを使用した挨拶でも構いません。
上に挙げた以外にも、性格の不一致、親族問題などさまざまな離婚理由があります。
自分たちの離婚理由や状況、相手の親との関係性などを踏まえ、挨拶するべきかどうかを考えましょう。
離婚の挨拶には、相手へ敬意と感謝の気持ちを伝える効果だけでなく、自分の気持ちに区切りをつける効果もあります。
離婚件数の増加に伴い再婚件数も増えてきている今、離婚後に新しい家庭を作る可能性は大いにあり得ます。そのため、心残りのない形で結婚生活を終わらせておくことは今後の人生を考える上でも重要です。
また子どもがいる場合、相手が子どもの親であり、相手の親が子どもの祖父母であることは離婚した後も変わりありません。子どものためにも、可能であれば離婚した相手や義父母と良好な関係を続けておいた方が良いでしょう。
相手の親へ挨拶に行く際は、離婚後の人生も考えて挨拶をしてください。
縁あって結婚した人の親ですから、離婚して縁が切れるときも最低限の礼儀をわきまえてください。挨拶すべきかどうか、どのような挨拶をすべきかなどを真摯に考えましょう。
結婚が人生の岐路ならば、離婚もまた人生の岐路です。後悔しないよう、自分自身が納得できる選択をしましょう。